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SUMITSUBOYA DESIGIN WORKS  そこに在る色気と存在

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SUMITSUBOYA DESIGIN WORKS  そこに在る色気と存在

空間デザイン。携わった人のセンス、価値観、感性そのものが問われる場所。与えられた箱を多方面から見据えてアプローチし、人がどれだけ心地よく感じられるのか。その界隈で、自流の空間デザインを生業にしている兄弟がいます。 (2018年に取材したものです)

形ができるまで。カタチにするまで2人だけ

山中湖を拠点として、店舗・別荘・住宅の空間デザインと施工・リノベーション、店舗の什器制作を行う2人組がいます。ゲストハウス「Kagelow Mt.Fuji Hostel」、居酒屋「魁本店」、撮影スタジオをクールな空間に変えた某所。2人の手にかかった空間は、人の感情や感覚を強くゆすぶります。

「SUMITSUBOYA DESIGIN WORKS」。こう名乗るのは、伊藤泰蔵(たいぞう)・亮陽(りょうよう)の兄弟。セルフビルドで住宅・別荘・店舗を手がけてきた父親の仕事を幼い頃から見て育ち、手伝うことが当たり前だった2人には、この世界は誰よりも近くて遠い場所だったのかもしれません。共に美術の道へ進んでいったことは、自身で触れてきた感覚があったから。父親と同じ仕事を選んだのも自然の流れでした。

2人の概念は「空間とは、ただの形ではなく光景・シーンとして捉えることで、空間に滞在する人や行動、感情、時間変化、外界との連続性により形成される“輪郭”のようなもの」。どんな空間が求められているのか柔軟性を持って向き合い、「輪郭」を形成していく2人。見るもの・感じるものすべて仕事に繋がってしまうと、プライベートの時間まで片ときも仕事のことが頭から離れない気質は、一見ゆるりと何気ない生き方をしているようでも、職人としても、表現者としても、モノ作りに対する執念が伝わってきます。

手間が見える仕事をこの先もしていきたい

兄である泰蔵さんは全体像をイメージすることが仕事の一つ。机の上で図面はあまり描かず、建造物やショップなど、今まで様々なものを見てきた目と感性で現場を進めていきます。兄のイメージに色を付け、本質を捉え構築していくのが弟・亮陽さんの役目。お互いの役割を認め合いながら、2人だけで現場に立ちます。

完成するまでの間、板1枚を貼ることさえ納得するまで何度も繰り返す丁寧な仕事から、こだわりと自信が感じとれます。 兄の感性と弟の緻密なまでの技、2人それぞれの才能を通して自分達流に落とし込んだ空間が放つ色気と圧倒的な存在感を示す仕事、それがSUMITSUBOYA DESIGIN WORKSの世界。

空間は千差万別。楽しむこと、癒されること、活気づくこと、暮らしていくこと、それぞれ欲求は違うけれど、そこから生まれるストーリーを思い描き、自分たちの感覚をたぐり寄せつくっていく。そして、その空間に触れる人々の喜びを感覚的に知っている2人。そんな2人がつくる景色をこれからもずっと見ていきたいのです。

SUMITSUBOYA DESIGIN WORKS(南都留郡山中湖村)
https://www.sumitsuboya.com/

(家みつかるvol.4より抜粋)

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