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暮らしにハンモックを

暮らしにやまなし
暮らしにハンモックを

森の中でゆらゆら揺れるハンモックは昨今注目されています。そんな中、自分たちのスタイルを守る人がいます。場所があります。いまから10年ほど前の出来事が、ある一人の男性の人生を変えました。(2016年に取材したものです)

疲れた体と心を変えた、ハンモックとの出会い

癒しの布『ifu -癒布-』と名付けられたハンモックにそっと乗ってみました。今まで出会ったことも味わったこともない不思議な感覚。なぜか妙に落ち着く…どこか懐かしい、それでいてわくわくする心地良さがあったのです。

製作者はハンモック専門店hammock styleを営む広瀬靖行さん。食品業界に携わる会社員で時間に追われる慌ただしい毎日の中、持病のアトピー性皮膚炎が悪化。長期休暇をとり自然療法を取り入れようと、岐阜にある施設に辿りつきました。自分達でお米や野菜をつくり調理し、一日中、額に汗して身体を動かし、土と共にある暮らし。会社員の頃とは、まるで違う時間の流れに身を委ねて過ごすうち、徐々に症状が改善されていったそう。気付くと価値観やライフスタイルという自身の心の変化も感じていました。

土という大きな力を感じた広瀬さんは、山梨に戻っても「土と共にある暮らし」を手探りします。ハンモックと出会ったのはちょうどその頃。「幼い頃に好きだった物語の世界。心の片隅にあったハンモックのイメージ。初めて乗った時のふわっと浮くワクワク感。体全体をそっと包み込んでくれて、とても心地良い出会いでした」。

大菩薩峠につながる山並みを眺める小高い丘に工房はあります。奥様とふたり、ひとつひとつ丁寧にハンモック作りや、無農薬や無化学肥料でお米や野菜を栽培しています。手をかけたなるべく自然に寄り添う形のスタイル。あの時感じた時間の流れ、ライフスタイルが少しずつ今の暮らしの中で実践できるようになっていました。

暮らしに馴染む

現在は、工務店や建築会社と一緒に「ハンモックがある暮らし」を提案しているhammock style。「おうちの中でソファやベッドのようにして、日常の暮らしに寄り添うようにハンモックがあってほしいです」と、『身近にありうるもの』としての定着していってほしいと願います。

「間取りや家具の配置にもよりますが、木造の軸組工法の住宅でしたら取付けることが出来る場合が多いです。専用フックの取付けの位置で寝心地が大きく変わるので、お部屋に合わせてアドバイスしますよ」。

包み込まれるような安定感。癒される安心感。まるでお母さんのお腹の中にいるような安らぎ。広瀬さんは言います。「ハンモックのある暮らしは、忙しない毎日の中でもつかの間、時間の流れがゆるやかになるひとときをつくり出してくれる。きっと今以上に日常が愛おしく感じられるはず」。

hanmmock style(甲州市塩山)
https://hammockstyle.net/

(家みつかるvol.2より抜粋)

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