山梨の木を愛する三つのこころ
日本の木材生産が全盛期だった頃、山梨県でも330軒ほどあった製材所も今では僅か20数軒。環境保全に取り組む一方、次代の継手による新たな試みを発信する、『木』を守り、人と『木』をつなぐ「古屋製材所」のREALを届けます。
幾多の日々を超えて製材所が創り上げてきたもの
山梨市に居を構える「有限会社 古屋製材所」は、昭和33年に製材所の看板を掲げました。今でこそさまざまな製材機を使っていますが、当初は「1つの製材機で木を加工し続けてきました」と話してくれたのは、専務の雨宮文子(あやこ)さん。丸太を乗せた重機が行き交い活気に満ちていたあの頃を思い出しながら「今では、丸太を引く職人さんも2人だけ」と懐かしみます。
古屋製材所が取り組むことの1つにFSC認証があります。FSCとは、森林環境を守るため、すべての工程に厳しい基準を設け、その基準をクリアした木材だけを使用している証明のこと。この認証を受けた製品を購入することで、世界の森林を守ることに繋がるのです。
山梨県は77.8%もの土地が森林で、うち2/3以上がFSC認証を受けています。雨宮さんの妹である山本みな子さんは「山梨の豊かな森林とその木のぬくもりを多くの人に知ってもらいたい」と、山梨の森から生まれた素材を使い、インテリアからファッションに至る生活のすべてをトータルコーディネートする「株式会社シェア・ハピネス」を古屋製材所から派生させ運営します。
&の前は、あなたが大切にしている想いが入ります
シェア・ハピネスの新たな展開は「&CRAFTS(アンドクラフト)」という木材専門DIYショップ。節が入った壁板に囲まれ、木の香りに満ちた店頭に立ったのは、山本さんの次女・瑞穂さんで&クラフトを手掛けた若き女性です。「ある1つの製品の裏側を知ると、なぜこの金額なのか?という適正価格がわかります」。「最後に手にする人に届くまで責任を持ってつくりたいし、購入した方も意味を持って使ってほしい」という想いをプロダクトとして表現しています。
&クラフトの製品のすべては、FSC認証を受けた県産木材を使用した“安心・安全”な暮らしに息づくもの。原材料から生産、小売りまで製品の移動が把握できるトレーサビリティを意識したものや、WWFから依頼され購入するだけで環境保全につながるリースのキット、『木育×食育』をテーマにしたスプーン&フォークのDIYキットなど、作り手も買い手もお互いが関係に責任を持つ相互性のあるものが並んでいます。作品×県産木材×環境=HAPPYのサスティナブルな暮らしが理想だそう。自然に生まれた木は、時間をかけて創られた「もの」というカタチに姿を変え、いずれ土に還る宿命を辿ります。
http://furuya-wood.com/
株式会社 シェア・ハピネス(山梨市小原東)
https://s-hp.co.jp/
木材専門DIYショップ &CRAFTS(山梨市小原東)
https://andcrafts.s-hp.co.jp/
(家みつかるvol.5より抜粋)